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最高裁判所第一小法廷 昭和30年(あ)1876号 決定

本籍

富山県下新川郡東山村浦山一九九三番地

住居

同県同郡同村浦山二〇九一番地

富山県技術吏員(休職中)

中賢作

明治三八年四月一二日生

本籍並びに住居

同県高岡市守山七一番地

富山県事務吏員(休職中)

永井権勝

大正四年七月一六日生

右に対する虚偽公文書作成、同行使、詐欺、収賄各被告事件について、昭和三〇年五月二四日名古屋高等裁判所金沢支部の言渡した判決に対し各被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人両名の弁護人宮林敏雄の上告趣意は、原判示に副わない事実関係を前提とする判例違反の主張に過ぎないばかりでなく、所論引用の判例は、いずれも、本件に適切でないから、その前提を欠き、刑訴四〇五条三号の上告理由に当らない。

被告人中賢作の弁護人徳岡一男の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反の主張を出でないものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(所論公文書は、県技師の署名、印章のある技師としての納入検査証であること判文上明らかであり、また、所論物品代請求書が証第三号中のどれに当るかは検察官が没収執行の際に決すべき問題であつて、判決理由そごの問題ではない。次に、贈賄者が別件で無罪になつたからといつて、その別件の既判力が本件に及ぶ道理がない。そして、原判決は、本件で第一審判決が右贈賄者の供述調書等をも挙示して判示第三の収賄の事実を認定したのを是認して所論の事実誤認がない旨判示しているから判断遺脱は認められない。)

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫)

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